家人皆寝静まった深夜一時。
家主・浦原喜助の部屋で、不定期に行われる密事。
「もっと・・・、もっとじゃ」
「どうっスか・・・?」
ぐっと腰を撓らせ、ざらついた部分をめがけ擦りつける。
「ちが・・・、もっと深く来い・・・」
「おやぁ・・・、もっと深くしたらアタシ、イっちゃうかも・・・痛!」
下に組み敷かれている夜一が喜助の背中を引っ掻いた。
「これくらいじゃイキもしないくせに、生意気に焦らしおって!もう良い、おぬしが下になれ」
にやにやしながら主導権を女に渡すと、繋がったまま体位を入れ替える。
上を見上げると、夜一の豊満な胸が目を楽しませる。彼女の自重で更に深く接合する。少し呻き溜息を漏らすと、褐色の肌に包まれた体が揺れ始めた。
自分の良い様に腰を揺らし、吐息を弾ませながら快楽に身を任せる姿は、とても淫靡で興奮を煽る。
大きな乳房を掌で弄び、敏感な乳頭を指で捏ねると、夜一の内部がキュウキュウ締め付けてくる。
(気持ちいい・・・)
喜助は込み上げる射精感をなんとか逃がし、いつまでもこの快楽に浸っていたかった。
彼女の揺れに合わせて、腰を突き上げる。どんどん早くなるリズムに夜一の方が音を上げた。
「き、喜助・・・、ンッ、・・・!」
「ナカに出していいっスか?」
夜一はぶんぶんと頭を横に振った。
「ダメじゃ・・・!だめ・・・」
それでも咥えた物を離そうとしない内壁は、喜助を絞り上げ動き続ける。
「・・・あー、ちょっと無理かなぁ・・・」
何が、と問う余裕は彼女には既に無い。動きは止まらない。
「ね、夜一サン。いいでしょ?今夜だけ」
そう告げると、喜助は夜一に合わせるように腰を高く突き上げた。淫らな水音が弾け、最奥にぐっとのめり込む。それを数度繰り返すと、既に言葉のつげない夜一は高みを迎えた。
内壁が締まって、いよいよ喜助も追い込まれる。腰から下肢に痺れるような電流が走ると、彼女の内に熱い奔流が迸った。
「・・・まったく、おぬしは仕方がないのう・・・。何度今夜だけと言ったことか」
「あはは、本当どうしようもないっスよねぇ。でも言わせてもらえば、夜一サンの具合がそれだけいいって事なんスよ」
彼女は含み笑いをするように、嫣然と微笑むと、満足げに頷いた。
「もちろんじゃ。それを楽しめるおぬしは僥倖者よ」
「まったくっス」
金色の瞳がゆらりと揺れて、褐色のその指が喜助の喉元に触れる。温かな指先がゆるりと撫で上げる感触が情感を物語る。
「のう、どうじゃ、もう一度その具合を確かめてみんか?」
蒼い瞳が唇と共にニヤリと弧を描き、その褐色の指に手を添える。
「アタシの具合もまんざら・・・じゃあないみたいですねぇ」
女の唇も弧を描いたまま、何も言わない。そしてそのまま男がその唇を奪う。
昼頃に起きてきた店主の傍らに、黒い猫。日差しのいい場所に蹲るとそのまま眠る。
「いい天気っスねー」
そのまま大あくびをして、彼もまた猫の隣に横になった。
<終>