どこが好き?

 

そろそろ就寝前のまったりとした時間。浦原商店の従業員は既に眠った時刻。
 
「アラ、オシャレ雑誌なんていつの間に買ったんです?」
 
風呂から上がりたての湯気を纏った喜助が自室に戻ると、夜一が布団の上でごろごろしながら雑誌を読んでいた。タオルでわしわしとくせっ毛から水滴を拭いながら訊ねた。
 
「んー、昼間テッサイと一緒に買い物に行った時に買ってもらったのじゃ。暇つぶしにめくっていたらちょっと面白そうな特集が組まれててのう」
 
「へー、どんな特集っスか?」
 
「彼女・彼氏のどこが好き?というのを百人にアンケートしたものじゃ。でな、内面・外見・体の部位とか赤裸々に書いておるんじゃ」
珍しいこともあるもんだ、と喜助は単純に思った。夜一は普段人のことになど関心を示さず、我が道を行く性格だ。そもそも雑誌だってあまり見ないのに。
 
「ちなみに夜一サンはアタシのどこが好きなんスか?」
 
ちょっと甘い言葉なんて期待して、ついつい訊ねてみると、夜一は雑誌から顔も上げずにさらっと毒を吐いた。
「…別に、どこも」
「ヒドイ!ちょっとくらいないんスか?ほら意外に優しいとか、背の高いとことか、ねぇ!?」
 
ようやく雑誌から顔を離して、天井とにらめっこした彼女がひねり出した答えは。
「うー…ん、紅姫?」
「なんで疑問系なんスか。しかも斬魄刀ってどういうこと…?」
 
「まぁ、良いではないか。のう、おぬしは儂のどこが好きなんじゃ?」
「えー、そりゃあ顔も可愛い・性格も明るい。あとボインで腰も細いし、オシリも綺麗!あー…でも一番好きなのはイッた時の顔と声ときゅーっと締まるち…つ…」
 
るんるんと話す喜助の言葉が終盤に向かうにつれて、夜一が忌み物を見るかのような表情に変わった。
 
「喜助…、おぬしが儂をどう見てるか良く分かった。まるで慰み物のようじゃな…」
「いやいやいや!違うっス!誤解っス!ちゃんと愛してるっスよー!!」
 
「良い、冗談じゃ。この雑誌によると、彼女の体の部位でどこが好きかで結構票が割れておってのー。おぬしは乳・腰・尻・足のどれが好きなんじゃ?これ以外でも思いつけば言うてみよ。…膣以外でな。」
 
「えぇー、アナタの体でひとつなんて選べません。…うわ、無言で威圧しないで下さいよ」
夜一はじーっと喜助を見て、答えを待った。
 
「んー…じゃあ、ちょっと触って確かめてみるっス!」
「え?あっ、コラ!喜助!」
 
うつ伏せで雑誌を広げている夜一の体に喜助が圧し掛かった。押しつぶすように体重をかけ、その大きな両手が夜一の腰やら胸をまさぐり始めた。
 
「喜助!ふざけるでない!」
「しーっ!そんな声荒げちゃ、皆起きちゃいますよ」
すぐ耳元で囁かれて顔を赤くして口を閉じたが、喜助の掌や長い指はいたずらを止めない。それどころか、結い上げた髪の露になっている首筋に舌を這わせて舐め上げる。
 
風呂上りの喜助の体がいつも以上に熱く感じて、夜一もどんどん体が火照りだす。
「…で、分かったのか?」
 
「そうっスねェ…、イイコトしてから教えてあげる」
「もう!」
鼻息荒く嘆息してみせても二人の熱は上昇する一方で、体の芯は互いを待っている。
開いたままの雑誌もよそに、布団の上での戯れが始まった。
                                  <終>
 
本番なくてすみません。某雑誌でそんなようなことが書いてたな、と思って書いてみました。
ringoは喜助は尻好きではないかと思います。おっぱい星人も捨てがたいが…。
皆さんはどこだと思いますか~?