またもやパラレルです。
喜助→廓(女郎屋)の店主 。 夜一→元は名高い武家のご令嬢。
OKな方のみどうぞ~。
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「しかし、お気の毒様でしたねぇ。四楓院といったら名高いお武家様なのに、どこかの賊に一家皆殺しに合うだなんて…。アナタだけでも生き残ってくれて、本当に良かったっスよ、夜一サン」
呼びかけられた女性は、首肯するだけで何も言わなかった。そのきれいな着物は泥にまみれ、花のかんばせにも疲労の色がありありと見える。
一家の者・家臣の者全てが、顔を隠した賊の手で次々に切り殺されていく。
真夜中で不意を突かれたとはいえ、腕に覚えのある者は多くいたのに、それでも赤子の手をひねるかのようにいとも容易く崩れ行った。
「…すまない、喜助。きっと今、賊は生き残った儂を探して四方に散らばっているだろう。表にいるよりここのような場所にいた方が見つからぬかと思うて、厄介になってしまっているが、ここにも危険が及ぶようであればいつでも追い払ってくれていい」
「なぁに水臭い事行ってるんスか!アタシ達幼馴染でしょ?アナタが落ち着くまで…、いえ、ここでよけりゃあずーっと居て下さいな。大丈夫!アナタを店に出そうとなんて微塵も思ってもないスからね!」
「喜助…、すまないの」
夜一と喜助は元々、武家とその家に出入りする商屋の子で、大人が商談をしている最中よく遊んでいた。その商屋にはもう一人男の子がおり跡目争いとなったのだが、喜助は身を引き、色街で女郎屋を営んでいた。
「なるべく、外に顔が出ないように…、そうッスね、アタシの部屋の奥がいい。そこで寝泊まりして下さいな」
夜一はこの時、疲弊しきっていた。そのため何の疑問も浮かべず、喜助の進言に従った。
それが逃れられない呪縛の始まりとも知らずに。
夜一は女郎達の客引きの声を遠くに聞きながら、その晩はぐっすりと眠った。
それからしばらく経ったある夜。初夏にしてはめずらしく寝苦しい夜だった。
ようやくうっすらと眠りについた頃、夜一は身体の上を蠢く重みを感じて目覚めた。
するとそこには人影が覆いかぶさっており、声を上げようとした途端、口を押さえこまれた!
四肢をばたつかせ、暴れてもその人影は離れない。それどころか夜一の襦袢を忙しなく剥いでいく。
(嫌じゃ…!嫌!誰か!)
無我夢中で口を押さえていた指を噛むと、驚くほど聞きなれた声がした。
「喜…助…?」
「…ヒドイっスねぇ、こんなに思いっきり噛むなんて…」
「ヒドイのはどっちじゃ!こんな…、こんな夜這い染みたことをしおって!」
「いやだなぁ。夜這い、なんスよ。夜一サン」
徐々に慣れ始めた夜目には、はっきりと喜助が笑っているのが見えた。
絶句した夜一が見上げる先に、情欲に燃える目をした男の顔があった。
「なぁに、店には出しません。アナタ浅黒だから白粉塗るってのも限界あるでしょうし、媚売れないでしょ?でもねぇ…、タダって訳にも行かないんですよ」
ギリギリと押さえつけられた手首が痛い。怒りか、恐れか、唇が戦慄くのを止められない。
「好きなだけ居ても、良いと…おぬしが言ったではないか」
「ええ、ずっと居て下さい。アタシ専用の女、としてね」
「!!」
「ずっとアナタが好きだったんス。身分違いだと諦めていたけど、もう今は違う。こんな僥倖、逃す手はない!」
抗っても男の力に敵わず、夜一の身体は開かれた。叫ぼうとしても、唇が口付けで塞がれて上手く声にならない。
「泣いても叫んでも無駄っス。こんな奥の部屋じゃ誰にも届かない。…残念でしたね」
どうして喜助がこの部屋を宛がったのか、合点がいった。
そこから先はもう、叫ぶ余裕すらなかった。思考もまともに紡げない。
夜はいつものように更けてゆく。いつものように遠くで女郎の甘い声が聞いていた。間近で喜助の荒い息を聞きながら。
<終>
喜助の一方的思慕っぽくなりましたけど、一応喜夜だと言い張る。本番描写なくてスミマセン。想像とか雰囲気でカバーして下さい。
某日の鬼○犯科帳なんて見たもんだからこんな妄想しちゃったよ。お江戸には火つけ盗賊がわんさかいるね!私のかく喜助は何故かドSだな。
妄想絵も付けとくぜ!おまけでな!(誰…?)
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